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妊娠と出産は女性の人生を一変させます。この転機にどのような状況にあるかにより、出産時、そして産前産後の母子にとって良い結果となることも、生命が脅かされるまでの危機に直面することも起こりえます。

1年目の世界ウィメンズヘルス指数から、世界中の女性の医療に関する意見と経験について、基礎となる重要なデータが明らかになりました。調査結果は、過去数十年のウィメンズヘルスにおける格差と進歩の遅さ、そして女性の利益がいかに脆弱であるかを明確に表しています。1

妊娠中・産後の女性をサポートするため、医療関係の政策立案者とリーダーには、女性の経験が実社会に与える影響に対して十分な理解が求められます。当指数は、これまで世界の統計で無視されてきたテーマである周産期医療・産前産後ケアの質の認識について、真実に即した確かな考察を提示しています。質問は、地元の医療機関で体験した個人的な経験と知識に基づいた出産前ケア、という文脈で尋ねています。

回答者は、居住する地域や国といった広範の状況よりも居住地近辺の状況を知っている可能性が高いことから、「お住まいの都市または地域」に基づく回答を求める質問をすることで、回答者が確信をもって意見を述べていけるように努めました。

また、「妊娠中の女性」について人々に質問することで、回答者に対して、自分の社会経済的状況や交友関係と関係なく、大多数の女性を想定して回答することを促しました。
 

 

妊娠中に最もよくあるリスク

当指数は、最初の妊娠時の年齢とその際に利用できる周産期医療/産前産後ケアが、母子の生活に最も大きな影響を与えることを示しています。

国・地域を問わず、思春期での早期の出産や妊娠は、母親の生活、健康、教育、生計、幸福に関して継続的に悪影響を与える可能性があります。これらの少女の多くは学校を自主退学し、それにより学習や雇用の機会が制限され、貧困や疎外された生活に陥りやすくなります2。毎年、何万人もの若年者が妊娠や出産が原因で死亡しています。実際、妊娠と出産は世界中の15~19歳の少女たちの主な死因となっています。3悲しいことに、若年の母親から生まれた子供たちは、20歳以上の女性から生まれた子供たちと比較して、生後1年以内に死亡する可能性が高くなっています。4

事実、19歳未満で初産を経験したと報告した女性は、19歳以降に初産を経験した女性と比べ、5つの調査項目(基本的ニーズ、健康と安全性に関する意見、予防医療、個人の健康、メンタルヘルス)のいずれにおいても得点が低いことが当指数から明らかになっています。なお、オーストラリアとニュージーランドでは結果が異なり、当指数の得点は初産の年齢に関係なく同等でした(どの年齢でも65点)。
 

世界保健機関によって収集された以下の統計データは驚くべきものでした。

  • 発展途上地域において、15~19歳の約1200万人の少女と、15歳未満の777,000人以上の少女が、毎年出産しています。
  • 発展途上国の15~19歳の思春期の少女たちの間では、毎年1,000万人以上が予定外妊娠をしています。
  • 10代の妊娠中および出産時の合併症は、世界中の15~19歳の少女たちの主要な死因となっています。
  • 思春期の母親(10~19歳)は、20~24歳の女性に比べて子癇、産褥子宮内膜炎および全身感染のリスクが高く、10代の母親から生まれた新生児は、低出生体重、早産、重度の新生児疾患のリスクが高くなります。5
  • 妊産婦死亡の94%は低所得および低中所得の国・地域で発生しており、適切な周産期医療/産前産後ケアの利用が可能になれば予防できるものです。6

 

ウィメンズヘルスに関する5項目
ウィメンズヘルスに関する5項目

世界ウィメンズヘルス指数の5項目は、女性の平均寿命に大きく関連しています。初産の年齢と周産期医療/産前産後ケアは大きな決定要因です。

周産期医療/産前産後ケアに対する姿勢

適切な女性医療へのアクセスについて、調査対象の国・地域で幅広い意見があることを当指数は明らかにしています。

  • 10人中約3人の女性が居住地域で良質な医療へのアクセスに満足しておらず(29%)、23%の人はほとんどの妊婦が良質な医療を受けていないと考えています。
    • 都市部以外の地域住む女性や19歳未満で初産を経験した女性の間では、この満足度がより低くなっています。
  • 出産前ケアの質に対する認識は世界的な統計でこれまで除外されてきましたが、これは女性の生涯にわたる医療経験の重要な側面です。
妊婦の良質な医療へのアクセスに関する意見と、看護師と助産師の平均数

看護師と助産師の数が多い国では、妊婦が良質なケアを受けていることに同意する意見が多くなっています。

周産期医療/産前産後ケアの現状

死亡率が大幅に低下しているにもかかわらず、世界各地の妊産婦と新生児の死亡数は依然として容認できないほど高い状況にあります。 これらの死亡例の94%は、低所得国および低中所得国で発生しています。8

米国国際開発庁(USAID)は、この懸念すべき統計が示す状況を向上させるよう取り組んでいます。現在国際的にも認められた目標であるEPMM(予防可能な妊産婦死亡の撲滅)に基づき、豊かな国・地域と貧しい国・地域が協力して妊産婦死亡率の低減に取り組んでいます。なお、世界平均での妊産婦死亡率を2030年までに出生数10万人あたり70人未満、2035年までに出生数10万人あたり50人未満に低減することを目標としています。9

USAIDは、一部の国における大幅な進展も指摘しています。例えば、カンボジアは妊産婦死亡率を84%低減し、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)の目標5を上回っています。USAIDは、カンボジアの急速な経済成長、通信の改善および輸送インフラと医療施設への政府投資が、劇的な改善に寄与したとして称賛しています。ルワンダとバングラデシュでも明確な改善が認められています。10

世界ウィメンズヘルス指数が示すデータは、周産期医療/産前産後ケアの改善と死亡率の低減に向けてリーダーたちに方向性を提示する助けとなり得ます。これが実現すれば、より多くの女性が自らの健康の恩恵を享受しつつ、家族、地域社会、ひいては社会全体の繁栄を手助けできるようになります。
 

 

女性の健康は全世界の健康です

2020年版世界ウィメンズヘルス指数の詳細な調査結果を確認するには、レポートをダウンロードしてください 。