女性は、家族、地域社会や経済にとっての心臓のような存在です。一方で、世界中の女性にとって第一の死因は心臓病です。高血圧は、この死因における最大の危険因子です1。世界ウィメンズヘルス指数の初回調査により、心臓病の初期徴候を検出する血圧検査に関して、世界各地でその必要性と実際の検査へのアクセス状況とに大きなギャップがあることが明らかになりました。
医学と治療の進歩にもかかわらず、心筋梗塞の発生率は中年期(35~54歳)女性の間で増加しています。2
これに対して、世界ウィメンズヘルス指数では、女性医療の不足を指摘しており、女性にとって世界各地で主要な死因となっている心臓病に対処するにあたり、予防医療の向上、知識不足の補完、意識の向上といった措置の速やかな実行が求められています。
血圧検査は不可欠なものです
世界保健機関(WHO)では、高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれています。高血圧であっても警告的な徴候や症状が現れないことがあるため、ほとんどの高血圧患者は自身の問題に気づいていません。したがって、定期的に血圧検査を行うことが不可欠です。3
また、高血圧は医学的に深刻な状態であり、心臓、脳、腎臓などの疾患のリスクを高める可能性があるともWHOは指摘しています4。2020年の世界ウィメンズヘルス指数の調査では、過去12ヶ月間に血圧検査を受けた女性が世界中で3人に1人しかいないことが明らかとなりました。
WHOは、適切な管理と治療、ライフスタイルの変化に応じたカウンセリングを開始するために、心臓病の初期徴候を検出することが重要であると勧告しています。
血圧検査は、対処がしやすい早期の段階で問題を検知する、安価で非侵襲的な方法です。

2020年の世界ウィメンズヘルス指数の調査により、過去12ヶ月間に血圧検査を受けた女性は世界中で3人に1人しかいないことが明らかとなりました。
世界的な問題
世界中で10億人以上が高血圧に罹患しています。5 症例の3分の2は低所得国および中所得国で見られ、これらの国でここ数十年で危険因子を有する人々が増加したことによるものと考えられます。
血圧検査の受診率は世界各地で大きく異なり、コートジボワールとトルコの女性では最低の14%、ラトビアの女性では最高の76%でした。

血圧検査の実情は世界各地で大きく異なり、心血管系の症例の3分の2以上が低所得国および中所得国で発生しています。
国際的な改善の手引き
WHOによれば、心血管疾患のほとんどは、喫煙、不健康な食事と肥満、運動不足、アルコールの過剰摂取など、行動上の危険因子に対処することで予防することができます6。
健康衛生や地域社会のリーダーに対して、血圧の検査や治療、経過観察の頻度を増やすよう働きかけるにあたり、世界ウィメンズヘルス指数が示すデータを役立てることができます。これが実現すれば、世界中のより多くの女性が自らの健康の恩恵を享受しつつ、家族、地域社会、社会全体、ひいては経済の繁栄を手助けできるようになると考えられます。
女性の健康は全世界の健康です
2020年版世界ウィメンズヘルス指数の詳細な調査結果を確認するには、レポートをダウンロードしてください
- https://www.weforum.org/agenda/2021/06/heart-disease-is-the-leading-cause-of-death-in-women-worldwide-lancet-commission-cvd-stroke/
- https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/heart-attack/heart-attacks-striking-younger-women
- https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hypertension
- https://www.who.int/health-topics/hypertension#tab=tab_1
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4979614/
- https://www.who.int/health-topics/cardiovascular-diseases#tab=tab_1